• 第1回 羽毛のすべてを知る人
  • 第2回 いい羽毛を求めて
  • 第3回 羽毛ふとんの匠たち
  • 第4回 一枚の中に込めるもの

第3回 羽毛ふとんの匠たち

──
工場に伺ったときに働いている方々がすごく自信を持たれている印象がありました。
一人ひとりが「匠」という感じで。
奥谷
やっぱり歴史なんですよ。
品質・信頼の東京西川の羽毛ふとんをつくらなくては、という。
──
姿勢そのものが、長い歴史の中で培われたものということですか。
奥谷
一人一人の責任として、自分の工程の中でしっかりとした管理を徹底していますから。
例えば、羽毛ふとん工場の中には、数ヶ所に湿度計、温度計を設け、その日の気候によって細かな微調整を毎日行っています。
第3回 羽毛ふとんの匠たち
──
湿度計・温度計を?
奥谷
湿気が多くて雨が多い時だと羽毛は水分を吸います。
そのままの重量で充填してしまうと、後で乾燥したときに重量不足になってしまう。
毎日湿度・温度の管理を工場の中でやって、長年培ったデータから今日は何グラムを1マスに入れようって決めるんです。
そういったひとつひとつが、結果として品質につながっていく。
──
キルティングに関していうと、特別なキルト製法が東京西川にはあるそうですね。
奥谷
まず開発の背景をお話しすると、きっかけはお客様の声だったんです。
その製法ができる前までは、「使っているうちに、羽毛が片寄る」というクレームが多かった。
──
片寄ると、せっかくの暖かさも台なしになる。
奥谷
そうです。そこで、生産性を上げながら、羽毛の片寄らないふとんをどうやってつくりだすかを試行錯誤した。
その結果、特別なキルト製法『ソリッドステーク』が生まれました。
──
開発されたのは、一人の女性社員とお聞きしましたが。
奥谷
ええ。『ソリッドステーク』を開発したのは一人の女性です。
もちろん、今も現役ですよ(※2014年時点)
ベテラン中のベテラン、裁縫の技術は一級です。
──
そういった方をずっと大切にされているところも、東京西川の面白みですね。
奥谷
例えば、新開発の段階で一回形にしないと、モノって絶対に完成ししません。
そういう時に、彼女に「こういう商品を考えてるので、ちょっとキルトして」とお願いすると、自分で裁断して縫って、「はい、出来ました」ってすぐに持ってきてくれる(笑)
──
(笑)
奥谷
スピード感がないと開発も出来ないですから。
彼女のような経験者がいると、高い裁縫技術で「ここはこうしたほうがいい」というアドバイスももらえる。
僕らは、ミシン踏めないのに偉そうに言ってるだけだから(笑)。
第3回 羽毛ふとんの匠たち
──
まわりの方にも、ひとつの成功像として映りますよね。
奥谷
そうですね。彼女のそばには、若い子を絶対に付けているんです。
今は3人かな?
若い子に技術を教えてちょうだいと。
──
確かに、若い人たちもいきいきと仕事をされている様子でした。
奥谷
やっぱり企業って継承していかなきゃいけない。
ベテランの技術を若い子がマスターしていかないと。
そうしないと継続性が無くなってしまいますから。
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