• 第1回 羽毛のすべてを知る人
  • 第2回 いい羽毛を求めて
  • 第3回 羽毛ふとんの匠たち
  • 第4回 一枚の中に込めるもの

第4回 一枚の中に込めるもの

──
東京西川の羽毛ふとんには、「フレッシュアップ加工」という特別な加工があるそうですね。
奥谷
はい。ヨーロッパから買い付けた原毛は、自社の製造会社洗浄のものと台湾などで完全に洗いあげられてパッキングした状態で日本に来るものがあります。
プレスパッキングされていたり、バインダーでぐっと抑え込まれている。
──
そのままでは、ボリューム感のある羽毛ふとんにはなりませんよね。
奥谷
そうです。その原料をそのままつめていたら、ボリュームのないふとんとなり、絶対にお客様に喜んで頂けない。
「東京西川のふとんって良くない」と言われてしまう。
やっぱり洗いたての状態に戻さなくちゃいけない。
そこで『フレッシュアップ加工』が必要なんです。
──
簡単にいうと、どういう加工なのでしょう?
奥谷
スチームをかけて、乾燥機を通して、小さなゴミやほこりを落として、洗いたてと同じ羽毛の状態に戻すんです。
第4回 一枚の中に込めるもの
──
ふんわり感が違ってくるわけですか。
奥谷
その加工方法は、ゴミやファイバー(切れたダウンやフェザー)をしっかり除去するものです。パワーアップマシンは東京西川独自のものではなくて、国内では何社かは入れているものがあるわけですよ。
だから、そのままの工程でやっていると他社のものと同じものしかできない。
──
東京西川ならではのカスタマイズをされているんですか?
奥谷
はい。東京西川独自の改良を加えて、工程も独自に増やしています。
これはくり返しくり返し、ゴミやファイバーを極限まで取り除く行程を行い、ダウンとフェザーだけに近い羽毛に創りあげます。
そうすることで、絶対クオリティの良いものができる。
おそらくうちの会社以外にはないやり方です、これはもう自信を持って言えます。
──
羽毛の「検査」も重要なんですよね。
奥谷
技術レベルの違いはあるにせよ、羽毛ふとんをつくるためには検査項目は絶対必要です。
ただそれを公的機関でやるか、自社でやるか。
もしくは原毛を買い付ける商社がやるか、仕入れ先の国のデータを参考に貰うか。
やり方はいろいろあります。
──
東京西川では、独自の厳しい検査基準を設けているそうですが。
奥谷
はい。東京西川の羽毛ふとんは、よその品質基準よりも厳しいです。
検査室にもお金をかけてます(笑)。
湿度と温度は決められた状態で検査しなきゃいけない。
バラツキが多くてはダメなんです。
そういった意味でも、うちの宇都宮工場の検査室は国内有数の設備だと思います。
──
そのこだわりは、どこから来るんですか?
奥谷
「買って本当に良かった」という、お客さまの言葉を大事にしたいですから。
手間と時間をかけてでも、品質の良い一枚をつくること。
それが、根底にないといけない。
責任があるからこそ、厳しい目でつくる。
ただ、それだけですね。
第4回 一枚の中に込めるもの
──
最後に。奥谷さんにとって、羽毛ふとんとは。
奥谷
1566年創業という長い歴史を持つ「東京西川」の代名詞。
それが、羽毛ふとんだと思います。

素材として、羽毛にかわる代替商品をいろいろ我々もトライはしているんです。
だけど、羽毛に勝るものは残念ながら今のところない。
──
こんなに技術が進歩しているのに…。
それほど羽毛は特別なんですね。
奥谷
ええ。だから、現状でいちばん大切なのは、東京西川としては「品質・信頼」を切り口にした、安心で快適な羽毛ふとんをお客さまに届けるしかない。

今は不眠症など、眠りにまつわる問題が世の中に多い。
そこで、科学的にちゃんと検証した上で質の良い快適な眠りを提供していきたいですね。
それは、東京西川の使命として今後も続けるべき。
僕はそう思っています。
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