タオル作りに、いい糸は欠かせへん。
撚糸(ねんし)工場長・小沢さんは微笑んだ。

撚糸工場に集まる糸は、“単糸(たんし)”と呼ばれる1本の糸だ。
それを、2本の糸を()り合わせた“双糸(そうし)”にする。
柔らかくコシのある糸を作るために。
職人が撚りの回転を調整する。その技がタオルの柔らかさを決める。
最後に撚りにムラがないかを厳しく確かめる。
「見ただけで、撚りの回転数も分かりますわ」と、岩城さん。
昼も夜も、撚り機の音が響いている。

良質な水も、大切な道具です。
染色担当の竹内さんは優しく言った。

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今治タオルの伝統技法“先晒し(さらし)、先染め”。
糸を織り上げる前に、精錬漂白・染色・糊付けを行う。
“先晒し”の部分に当たる精錬漂白は、重要な洗いの加工。
糸の油脂分などを取り除く。綿本来の吸水性、天然の白さを引き出していく。
竹内さんは言う。「先晒し先染めに、今治の水はかかせない」。
清流蒼社川(そうじゃがわ)の伏流水、霊峰石鎚山(いしづちさん)の地下水。繊細で柔らかな風合いを実現できる。
今治の良質な水は、大切な道具のひとつだ。

コツはここよ、ここ。
伸べ師・横田さんは腕を叩いた。

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整経(せいけい)は、タオルのタテ糸の準備だ。
600本もの糸を集め、巨大な糸巻“伸べ”を作る。
そこには、伸べ師という職人がいる。
糸の張りを手で確かめながら、均一な力で巻きつけていく。
「繊細に、慎重に、丁寧に。糸を操るんです」横田さんは言った。
いい伸べが、いいタオルを作る。完成まで約4時間。伸べ師の指は、忙しい。

ここは、職人の技がぜんぶ集まる場所。
製織師・八塚さんの言葉は誇らしげだ。

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糸を織り、タオル生地へ。織機には、2種類のタテ糸を使う。
肌に触れる柔らかい部分を担うパイル糸。
もうひとつは、地経(ぢだて)糸。柔らかいパイル糸を支える土台の糸だ。
「先染めや伸べなど。すべての職人の技がここに活きている」。
八塚さんは言う。いくつもの織機が、精密に織り上げる。
織機のそばには、人がいる。厳しい目がある。

水で鍛えて、理想のふっくら感へ。
後洗い担当・竹田さんは言った。

織り上げられた生地は、もう一度、洗う。
今治タオルの伝統技法“後洗い(あとあらい)”だ。
先染めの糸で織り上げた生地には、糊が残っている。
良質な水でしっかりと洗い、糊を抜いて乾燥する。
水温と、作業時間。熟練の職人が細かな調整を行っていく。
「ここで綿本来の吸水性、柔らかさを高めるんです」と、竹田さん。
水で鍛える。東京西川が求める、理想のふっくら感のために。

一枚一枚、私の目は真剣勝負。
検品担当・坂部さんは頼もしい。

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加工が終わった生地は、仕上げへ。
長く繋がった生地を、人の手がタオルに形に近づける。
両サイドをほつれないようにミシン掛けし、ヘムと言われるタオルの上下部分を縫い込む。
今治タオルの証と一緒に。そして、検品。
「一枚一枚、私の目はいつも真剣です」と、坂部さん。
品質と信頼。東京西川の今治タオルが、完成する。